葬儀は宗教的意味合いも強いものであり、故人が信仰する宗教によってその形式や在り方が大きく異なるという特徴があります。そしてその差異は宗派によっても表れるものであり、最も多い傾向にある仏式においても、それは例外ではありません。
仏式において特に独自色が強いと言えるのが、真言宗のケースです。密教の一派と位置付けられ、広範な布教よりも代々の受け継ぎや限られた人間関係の中での伝承を重視する宗派であり、その教えや習慣は仏教の中でも独自色が強くなっています。
その事が、葬儀における風習の違いにも表れています。具体的に例を挙げると、灌頂と呼ばれる儀式が該当します。故人の頭に水を掛けるというもので、古代インドからの風習に連なって仏の位まで魂を昇らせるという意味合いがありますが、凡そ他の宗派では考えられない儀式です。
もう1つ例を挙げるならば、数珠の使い方にも特徴があります。多くの宗派では合掌の際に添えるような形として、音は立てないようにするのが基本です。ですが真言宗の場合には数珠を擦り合わせる事によって煩悩を打ち砕くという考え方が受け継がれており、寧ろ積極的に音を立てるような使い方をする事になります。
このような差異・特徴から、真言宗での葬儀を開催する事になる場合、単に仏式で整えるだけでは齟齬が生じてしまう可能性があります。伴ってのトラブルを避ける為にも、各種の形式にしっかりと対応出来る事業者に依頼するのが望ましいと言えます。